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なつかしい あのころ

なつかしい あのころ

すずめ の China (ひな)

China1

何年か前に雀を飼ったことがある。
小鳥屋さんで販売しているすずめではなく、どこでも見かける雀である。
 実家の母親の住居の塀を4年に一回塗り直す時の事である。

5月中旬ころだったと思うが、作業しているときに雀の雛が巣から落ちて
きて道路の上を這い回っているではないか。最初可愛いなどと思いながらも
一応野鳥だから巣に帰そうと思い、巣を探しては見たものの巣が見つからないのである。そのまま道路に放置するわけにもいかないので、適当な高さの
木の幹においてみたがすぐに下に降りてきてしまうのである。ご本人は飛んでいるつもりなのだろうが、如何せん羽が生えそろっていないのだから飛べるわけがないのである。そのままにしておけば確実に野良猫の餌食になるのは必死なわけで、家族とどうしようと相談しているときに野良猫がこちらの様子をうかがっていた。いままで何人かの友人がこのようなケースで飼ったことがあるが大抵一週間以内で死んでしまう話を思い出した。

 今ここで放置すれば10分もない命であろう。それならたとえ一週間でも生きられるなら俺たちと一緒に暮らしてみるか?とすずめに問いかけてみると『おねがいします~。』と聞こえたのである。(ただ単に僕がそう思っただけだが)こうしてすずめを我が家に持ち帰り、帰宅途中で買った文鳥雛用あわ餌を与えることになった。小学生のころ文鳥の雛を育てた事があるので
その時のことを思い出しながら、餌を与えてみた。まったく食べられないのである。試行錯誤の上そうか確かヘラみたいな物に餌をつけて、最初は無理矢理くちばしをこじ開けて餌を流し入れた事を思い出し、可愛そうと思いながらもこれで試してみる事にした。ヘラは割り箸をナイフで加工しそれらしき物を作成。最初は文字どおり無理矢理くちばしの中に餌を入れ、溢れんばかりの餌を吐き出す事もできずに飲み込みのど元の餌袋に入っていく。この雛雀にとっては苦しいんだろうけれど、この仕草が何とも云えず可愛い!(決して僕はサドではありませんが)3回ほどこれを繰り返し一回目の食事は終了。次は水も飲めないので(この時期水を必要としているのか知識がなかった。)今度は細めのストローに水を溜めて同じ方法でとりあえず一回与えた。
 驚いたのは2回目の食事タイムの時、割り箸で作ったヘラを見た瞬間自らくちばしを大きく開け餌を要求!生きるために何が必要かと感じたときの学習能力の早さに。食後の水も同じくストローをみたら要求ポーズ(笑)
 我が家に鳥かごはなかったので大きめの段ボール箱に新聞紙を細く裂いたものを敷きつめ飼う事にした。次の日雀を飼った事のある経験者二人ほどにアドバイスを得ようと電話を掛けたが、二人とも返事は同じで三日目位から餌も食べなくなってせいぜい一週間がいいところだというのである。
 もう少し突っ込んで聞いてみると、自ら餌を食べようと云うことは一回もなかったらしい。「我が家の雀はこんな感じだぜ」と伝えると「それはめずらしいな、頑張ってみたら案外いけるかも。」この言葉に気を良くした僕は頑張ってみるかで、一日6食日中は妻に任せてなんとか一週間を無事に経過することができた。十日間過ぎから雛だった雀が段ボール箱から飛び出して外に出るようになってきたのである。2週間を過ぎると箱の外にでるのは簡単でございます~、て感じで出てきて狭い部屋の中を飛び跳ねながら散歩し始めた。

 翌日、小鳥屋に行き店主に事の経過を説明すると、黙って聞いていた店主が一言『あなた、その雀飼いなさい。』

はぁ~「僕は成鳥になったら自然に返したいんですが?」

『いや、あなたの話の経過を聞いていたらまさにいい時期に捕獲(ちょっと意味がちがうけど)しましたね。雀を育てるのは確かに難しいけれどうまく育てることができたら、その雀は凄くなつきますよ。ここにいる小鳥と違って見栄えはよくないけれど、なつき方からいったら文鳥より上、自然に帰すのもいいけれど、雀は群れで暮らすからその中に入るのは不可能。死を待つだけです。何かの縁と思って飼う事をオススメします。』

単純な僕はこの店主の勧めに従い約5千円を投資し、鳥かご他必要な物を購入し、雀を飼う事にしたのであります。



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